Fuck No James Returns


1日経って冷静な頭で考えると、今回の来日公演はかなりストライクゾーンの狭いライブだったような気がしました。「追加公演のチケットがまだあるなら行ったほうがいいぜ」などと無責任なことを書いた手前、一応今回のライブにおける悪かったところ、なども念のため記しておこうと思います。


まあ、多分ネット中の其処彼処で言及されているのでしょうが、音が酷かった。METALLICAのライブやアルバムでベースの音が聞こえないのは今に始まったことじゃないんですけど、折角鶴次郎を入れたのにコレかよ?と思った人は多かったでしょう。
僕も別に今回彼らが帯同してきたのが前任ベーシストのジェイソンなら「毎度のことですよ」と流していたと思うんですけど、鶴次郎はちょっと不憫だよな。お前のインフェクシャスなグルーヴは何処へ消えたんだよ、っていう。


(星の数ほどいる世界中のMETALLICAファンがこの辺りの折り合いを一体どうつけているのかは気になるところです。昔は「会場で流れている音よりジェイソンの付けてるイヤホンに流れてるベース音のほうがデカイ」なんて笑い話もありましたし、名盤との呼び声高い『...And Justice For All』にしてもベース音は小さい、というかほぼ無音に近いですから。ま、『...And Justice For All』はドラムもミカン箱叩いてるみたいな音ですけど)


会場の代々木第一体育館も酷い会場でした。ステージが超低くて。座席も普通の椅子並びだし。僕自身はアリーナ席のかなり前列だったので気にならなかったものの、後ろのほうからじゃメンバーを肉眼で確認するのも難しい状況だったんじゃないでしょうか。


選曲も然り。「『KILL'EM ALL』から4曲も!」と感涙に咽ぶファンというのは、正直なところ現在METALLICAのファン層を構成している人たちの中ですら結構な少数派でしょう。
ましてや「ちょっと興味があって」「『LOAD』から入った」なんていう若いファンには一体何の曲がプレイされているのか、大半が知らない楽曲のままライブが終了するという展開だったのかも知れません。


"Hit The Lights"や"Fade To Black"を連発した所為で「オールドファン感激のセットリスト」が完成したわけですが、別に同じふるい曲でも"Creeping Death"や"Ride The Lightning"なんかは比較的毎回ライブで演奏される楽曲で、珍しい楽曲ではない。
とすれば、一昨日と昨日の構成は、悪く言えば「古い曲を沢山やったライブ」ではなく、「最近の曲を極端にやらなかったライブ」と取れなくもないです。


以上、マイナス要因となる部分を列挙してみました。


昨日の僕はスラッシュ・メタル時代の曲が沢山聴けた!という感動の中で、上記マイナス部分のうち「音が悪かった(特にベース)」を「METALLICAファンなら周知の事実。それが嫌なら行かなきゃ良いんだから今更文句言うことじゃねえ」、「会場が酷かった」を「代々木体育館が酷いのは毎度の話で別にMETALLICAが悪いわけじゃねえ」と勝手に免罪して、「感動!」に練り上げたわけですが、METALLICAほどキャリアの長いバンドとなれば「オールド・ファン」にも様々な方がいらっしゃるわけで(極端な話、『LOAD』でMETALLICAデビューした人だって、時間の経過だけ考えればいまや立派なオールド・ファンなのです)、「全てのオールド・ファン必見」みたいなトーンで統一したのは多少暴論であったかと思います。


ので、あの後うっかり追加公演のチケットを買って、さいたまで「音ショボいよ!」と怒りを覚えた人も、僕に石を投げないでください。METALLICAが好きな奴に悪い奴はいない、っすよ、ね。