Courtesy of the Red, White, & Blue (The Angry American)

American Girls and American Guys
We’ll always stand up and salute
We’ll always recognize
When we see Old Glory Flying
There’s a lot of men dead
So we can sleep in peace at night
When we lay down our head

My daddy served in the army
Where he lost his right eye
But he flew a flag out in our yard
Until the day that he died
He wanted my mother, my brother, my sister and me
To grow up and live happy
In the land of the free.

Now this nation that I love
Has fallen under attack
A mighty sucker punch came flyin’ in
From somewhere in the back
Soon as we could see clearly
Through our big black eye
Man, we lit up your world
Like the 4th of July

Hey Uncle Sam
Put your name at the top of his list
And the Statue of Liberty
Started shakin’ her fist
And the eagle will fly
Man, it’s gonna be hell
When you hear Mother Freedom
Start ringin’ her bell
And it feels like the whole wide world is raining down on you
Brought to you Courtesy of the Red White and Blue

Justice will be served
And the battle will rage
This big dog will fight
When you rattle his cage
And you’ll be sorry that you messed with
The U.S. of A.
`Cause we`ll put a boot in your ass
It`s the American way

Hey Uncle Sam
Put your name at the top of his list
And the Statue of Liberty
Started shakin’ her fist
And the eagle will fly
Man, it’s gonna be hell
When you hear Mother Freedom
Start ringin’ her bell
And it feels like the whole wide world is raining down on you
Brought to you Courtesy of the Red White and Blue


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米カントリー・シンガーによる今年もっとも物議を呼んだ曲のひとつ。


後半の


And you’ll be sorry that you messed with
The U.S. of A.
`Cause we`ll put a boot in your ass
It`s the American way


この部分だけを抜粋して「アメリカ優位主義」の右翼ナンバーのように受け取られることも多かった。ここ日本でも。


トビー・キース自身はこの曲は昨年9月11日の同時多発テロの数日後に、半年前に交通事故で亡くなった元軍人の彼の父親のことを思い出しながら書いた曲だと語っている。


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僕はカントリーは基本的にはアメリカ国内向けなんだと思う。


90年代最高のカントリー・スター、ガース・ブルックスでさえ、アメリカ国外でのツアーは不可能だ。トビーもまさか外国人に自分の歌を聴いてるやつがいるなんて思ってもなかったのかもしれない。ま、それは言い過ぎだとしてもマイケル・ジャクソンがこの歌を歌うのとは意味が違うはずだ。


僕にはアメリカから発信されるエンターテイメントがすべて世界に向けられたものだと思われがちなことがまず凄く興味深かった。それに作品への批判って必ず一部分だけを都合よく抜粋して行われるんだな、ということも。


この曲で書かれているのはアメリカの平和が「何によって」維持されているのかという彼なりの思想。今のアメリカの繁栄は数多くの「自由」のために戦った軍人の犠牲によってなりたっているというのが彼の言い分であり、「自由のための戦い」では「やられたらブーツでケツを蹴り返すのがアメリカ式」これもまた事実なんだろうと思う。アメリカはこれまで右の頬を打たれて左の頬を差し出したことなどないわけだから。


確かに右翼思想には違いないんだけど、この曲を「Imagine」に代表される理想だけを追い求める国内の平和主義者に対して現実を突きつけた逆プロテスト・ソングだと考えることもできる。そうすると国内と国外ではこの曲の持つ意味合いは大きく変わってくるだろう。


この曲に対してはアメリカ国内からも当然多くの批判があった。だけどそれはアメリカ人によるアメリカ国内の「平和維持のあり方」に対する議論なのだとしたら意味はある。一方この曲が最初からアメリカ国内に向けられたものなのだとしたらそれをアメリカ人以外が批判するのは見当違いかもしれない。


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これは靖国参拝問題を中国や韓国から批判されるのと似ている(もちろん諸外国に対する謝罪や補償という問題は誠実に行われるべきだと思うけど)。第二次大戦で亡くなった軍人を靖国神社に奉っているのはどうなのか?という議論を別にすると、一国の首相が国のために命を捧げた軍人に哀悼を捧げにいくのは当然で、逆にそれが出来ない国のリーダーの方が僕は問題だと思う。そんな国のために一体誰が命を捧げる?


ラッキーなことに日本では現実に自分の命を国のために捧げる事態が想定しにくいわけだけれど、アメリカは違う。現実の世界は微妙なパワーバランスによって秩序が保たれているだけで、アメリカの軍事行動ひとつでそのパワーバランスは大きく崩れてしまう。


どうしたら世界から戦争がなくなり、世界が平和になるかという議論と、現在の秩序をどう維持していくかという議論は別問題なんじゃないかな。今の日本には後者の議論に「全面的に」参加する資格はない。だけどアメリカにはそうした現実的な問題が存在し、そのことについての議論が求められている。


「自由」とは命がけで守るものだというアメリカ人(もちろん一部だけど)の根本的な思想を主張した一種のフォークソングが退屈なカントリーの世界から生まれたということでは評価できるかもしれない。もちろん共感できるかどうかは別にして。


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なーんてことを室温25度に設定された中東から搾取した石油ストーブにあたりながらぬくぬくと考えた。この偽善者め。