来た方行く方

東京を台風10号が直撃したこの日、昼頃から出勤して23時半頃地下鉄東西線に乗って帰宅の途につくと、早稲田駅から凄まじい風体のニ人組が乗車してまいりました。


一人は喜多方ラーメンを思わせる縮れた長い髪を輪ゴムとピンで丁寧に留めた短パン眼鏡くん。記録的な暴風・豪雨だと言うのに足元は病院の待合室から盗んできたような茶色のサンダル(そして何故か靴下着用)でした。
もう一人はこれまた「神戸ポートピアアイランド」とローマ字で書かれたタオルを頭に巻き、破れ目をワッペンで修繕したジーンズに「UCLA」とプリントされた黄色いTシャツ。


両人共凄い脂性で、僕が高校生のとき、クラスメイトに顔が余りにテカッているので「バクー油田」という裏ニックネームで呼ばれていた人がいたのですが、殆どそんな感じでした。脂が涌き出てくる瞬間が見えるタイプの脂性。


いや、正確に記述すると「裏ニックネームで呼ばれていた」のではなく、そのあだ名を付けたのは僕です。ごめんなさい。「しまけん、あんまニキビ出来ないね」と言われて「塩水で顔洗うと良いよ」と嘘を教えて彼の顔を真っ赤にしたのも僕でした。まさか本当に洗うと思わなくてさ(バクー)。←(爆)に代わる新しい表記の提案。滲み出る可笑しさや後に残るしつこい笑いを表現。


で、話は戻って、その風体で二人組が話す内容がスウェーデンボルグがどうの、マダム・ブラヴァツキーがどうの、総じてESPがどうのという超ディープ系。再来週からは夏合宿だそうで、お前ら一体何のサークルに所属してるんだよ、みたいな。君と僕とはスーパー・フリー(メイソン)。


こういう光景を目にすると、早稲田という大学が抱える立地の特殊性について考えたりしてしまいます。東西線って大手町やら日本橋を通るから、結構通勤に使う電車なんですよね。だから僕なんかもそうだけど、大学を出てからも毎朝通勤で早稲田を通る、在校生を目にする機会が多い人ってかなりいるんじゃないかと思うわけ。学生時代から西武新宿沿線に住んで、卒業後も馬場や東西線早稲田を通って通勤してる人って、相当数いるんじゃないだろうか。


勿論三田や目黒など在京の大学で比較的山手沿線に位置している大学って他にも多いわけですけど、通勤区間に出身校の所在地が含まれる割合で行くと早稲田と明治(御茶ノ水)辺りがやはり群を抜いているんじゃないかと。


以前裏ヒゲで和田真一郎の問題を取り上げたとき、沢山反応を頂いた中で「早稲田卒の人は出身大学に対する帰属意識が強いね」と遠回しに「お前学歴自慢したいのか」と問い掛ける内容のメールを貰ったりもしたのですが、学歴という一旦就職して社会に出てしまうと同窓の人間とのコミュニケーション円滑化以外では殆ど役に立たないステータスの発露というよりは、こういうロケーションの部分で日常的に出身大学と接触し続けるという状況が、帰属意識を高める要因のひとつじゃないのかな、なんて。バク然と考えてみました。
勿論、脂性に対する帰属意識はありません。